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2010.02.16

『レベッカ』/マキシムについて(その2)

前回に続き、『レベッカ』のマキシムについてです。

『レベッカ』/マキシムについて(その1)

まずお詫びします。
前回、分かりにくい記事をアップしてすみませんでした。


マキシムはあまりにも複雑すぎて、私は混乱しました。同情したり、イライラしたり、気の毒になったり、いろいろな思いが頭の中で絡まって、全く考えがまとまりませんでした。前回の記事でデータを書き出してみましたが、なんだか中途半端で個人的には失敗です。

でも私の暴走思考の過程、として残しておこうと思います。


マキシムの事を考える作業は大変興味深いのですが、簡単ではなく…私の場合消耗します。
マキシムは重い過去と秘密を抱えている人ですから、こっちまで重い気分になるんです。油断しているとマキシムの苦悩の中に落っこちます。
落ち込んでは気晴らしをし、近づいたり離れたり、ぐるぐる考えていました。
なかなか考えがまとまらず悶々としていましたが、今回は中途半端で終わらせるのが嫌だったので粘ってみました。
やっとこさ、なんとか煮詰まってきました。



煮詰まってきたといっても、いつもの暴走です。だらだらしてます。
ゆるーく読んでいただければ幸いです。


だらだらですが、完全にネタバレしております。
『レベッカ』を未読の方は、通り過ぎてくださいー。

今回は、マキシムに酷な視点でいってみます。


●レベッカ視点でマキシムを考えた場合
 マキシムは、レベッカの歪んだ愛情に支配されてしまった男です。


 作品中でレベッカは蛇にたとえられていますが、まさに美しき毒蛇です。

 レベッカは家柄・財産・外見すべて申し分ないマキシムを愛しました。愛していたというか…愛憎入り混じっている複雑な感情です。(多分、レベッカは自分にないものを持っているマキシムが憎かったのではないかと思います。)
とにかくレベッカのマキシムに対する愛は歪んでおり、強引な支配そのものでした。“言う事を聞かないなら、血を吐かせてでも従わせようとする”のがレベッカです。

 レベッカは、まずマキシムの外の顔であり心の支えでもあるマンダレイを我が物とし飲み込みます。レベッカの才能を「毒」とするならば、その毒は老若男女問わずよく効きました。人心を掌握して、マキシムの外堀を埋めてしまったわけです。次にマキシムの精神をも支配しようとします。
 レベッカの「支配」とは、それこそゲームのように“レベッカ自身が楽しむ”もの。マキシムの意志意向など関係ありません。たくさんの男性と遊び、浜辺のコテージでファヴェルと遊び、フランクを誘惑したのだってマキシムを支配するための手段に過ぎない。

 当然マキシムは抵抗します。抵抗してレベッカを手にかけ、海に沈め、その毒牙から逃れようとしました。しかしそれはレベッカの企み通りでした。野望半ばで病に冒されたレベッカは、己の命と引替えにマキシムの精神を縛ることに成功したのですから。

 レベッカ亡き後、マキシムはレベッカと真逆の女性「わたし」と結婚します。この結婚は、レベッカとレベッカに支配されたマンダレイへの抵抗です。マキシムは、この結婚によって自分自身を取り戻しマンダレイを取り戻そうとしたのです。

 レベッカには実体がなくても、デンヴァース夫人がいます。デンヴァース夫人はレベッカの手足のように、マキシムの抵抗を間接的に阻止しようとします。(案の定マキシムは真実を言う事が出来ません。)不安をおぼえ、距離を感じる「わたし」をデンヴァース夫人が追い詰めます。「わたし」をよそよそしくさせることで、じわりじわりとマキシムを締め上げる作戦です。

 そして仮装舞踏会でお膳立ては全て整います。マキシムと「わたし」の間を一気に引き裂き、マキシムの精神を飲み込もうとレベッカは霧とともに海から戻ってくるのです。

 マキシムの抵抗はむなしく失敗・・・。と思われたとき、マキシムの告白から「わたし」が愛を手に入れ予想外にパワーアップ。マキシムと「わたし」の強固な絆の前に、レベッカはあと少しのところでマキシムの精神を飲み込む事ができない…



…と思いますか?私はそうは思いません。

 確かにマンダレイを離れたマキシムと「わたし」の間には秘密はなく、笑顔があります。大人になった「わたし」はマキシムを愛し、マキシムもまた「わたし」の愛の中に安らぎを見出しています。「わたし」はマキシムを自分だけのものに出来て幸せかもしれません。しかしマキシムは幸福なのでしょうか。

本当に幸福なのでしょうか…?

 ラストのマンダレイは真っ赤な灰を吹き上げています。燃え尽き廃墟と化し、夢の中でしか存在しなくなってしまうマンダレイ。現実世界でマキシムの居場所はどこにもありません。マキシムが己よりも優先したマンダレイは、なくなってしまうのです。それでマキシムは平気でいられるでしょうか。

 もはやマキシムは「わたし」の世界の中でしか生きられないのです。そして更に、その「わたし」の世界の中で“生きている”マキシムは、本当にマキシムなのでしょうか。抜け殻だけなのではないでしょうか。マキシムの精神は、レベッカに完全に飲みこまれてしまったのでは…

私には、
レベッカは、己が死んでもなおマキシムを求め、最終的にマキシムを完全に支配した。
こう思えてなりません。




●マキシムを批判的に考えた場合
 では、マキシムは悪女レベッカに飲み込まれた「哀れな」男なのか?というと、そうではないんですよね。

レベッカに飲み込まれるきっかけを作ったのは、他ならぬマキシム自身。
レベッカを殺害し、精神を束縛されるきっかけを作ったのも、他ならぬマキシム自身。

 マキシムだって美貌・機知・教養を兼ね備えたレベッカをマンダレイのために利用しようとして結婚したのです。また女主人レベッカに家の事を任せきっていました。調度品や陶磁器のセンスを認めていました。
 あれだけ憎み嫌っていた、と言うけれど、調度品はそのまま・レベッカとの結婚祝の品も片付けない。レベッカの残り香の中で、マキシムは生活しているのです!これは普通なのか??
 「片付けてくれ」と言いさえすればよい、と「わたし」に話すマキシムは、その一言を言わないのです。
 そしてあれだけレベッカのようにならないでほしいと言っておきながら、女主人の役割を「わたし」にも求める。嫌っているはずのレベッカを、どこかで求めている…?


ひょっとして、マキシムはレベッカに支配されている状態に心のどこかで陶然としていたとか…
(うわー我ながら恐ろしい考え)

マキシム、自業自得じゃん!と感じる人がいるのも無理はない、と思います。



次回はまた別の視点で、続きます。
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